40年前の「資本論」所持による懲役、再審で無罪確定 2025年10月28日、ソウル南部地裁刑事14単独(キム・ギルホ判事)は、40年以上前にマルクスの「資本論」を所持していたという理由で懲役刑を言い渡されたチョン・ジンテ(72)氏の国家保安法違反容疑の再審で、無罪を言い渡した。今回の判決は、過去の権威主義時代の抑圧的な法適用に対する再検討とともに、個人の思想と表現の自由に対する重要な意味を改めて想起させるものとなった。特に、過去に国家保安法が広範囲に適用され、個人の自由と権利が侵害された事例に対する反省とともに、法の厳正な適用と人権保護の重要性を強調する契機になるとみられる。チョン氏は40年以上の長い間、無念を抱えてきたが、今回の再審を通じてついに汚名を晴らすことになった。この事件は、過去の誤った法適用によって苦痛を受けた個人の名誉を回復し、正義を実現する上で重要な意味を持つ。また、今回の判決は、同様の過去の事件に対する再審請求と真相究明の努力に肯定的な影響を与えることが予想される。 裁判所の今回の決定は、過去の権威主義政権時代のの人権侵害に対する反省とともに、民主主義社会において個人の自由と権利を保護することがいかに重要であるかを改めて認識させる契機となった。今後も過去の真相究明と被害者救済のための努力が継続的に行われる必要があるだろう。 チョン・ジンテ氏は1983年2月、マルクスの「資本論」をはじめとする利敵表現物を所持していたという容疑で当局に逮捕され、懲役3年の実刑判決を受けた。当時の時代状況を考慮すると、「資本論」のような書籍を所持していたという事実だけでも国家保安法違反容疑が適用され、処罰される場合が頻繁にあった。これは思想と表現の自由が抑圧されていた過去の暗い一面を示す事例だ。チョン氏はその後、長期間にわたり社会的烙印と精神的苦痛を経験しなければならなかった。今回の再審は、このような過去の誤った判決を正し、個人の名誉を回復する重要な過程だった。特に、「資本論」のような学術書籍を所持していたという理由だけで国家保安法を適用して処罰したことは、過度な法適用という批判を受けてきた。今回の無罪判決は、このような批判に対する裁判所の回答と解釈でき、今後同様の事例に対する裁判所の判断に重要な影響を与えることが予想される。今回の事件は、過去の権威主義時代の遺産が依然として社会の隅々に残っていることを示す事例として、過去の清算と人権保護のための継続的な努力が必要であることを示唆している。 真実・和解のための過去史整理委員会(真実和解委)は、当該事件を人権侵害事件として規定し、真実究明決定を下した経緯がある。真実和解委は、過去の国家権力によって行われた人権侵害事件を調査し、真実を究明して被害者たちの名誉を回復し、過去の清算を通じて社会統合に寄与することを目指している。チョン氏事件に対する真実究明決定は、過去の国家保安法の不当な適用によって発生した人権侵害を公式的に認め、被害者の苦痛を慰労する意味を持つ。真実和解委の決定は、裁判所の再審開始決定に重要な根拠となり、今回の無罪判決につながる上で決定的な役割を果たした。また、真実和解委は、チョン氏が捜査過程で不法な拘禁と拷問を受けたという事実を明らかにし、これに対する国家の責任を認めなければならないと勧告した。これは過去の権威主義時代の人権侵害に対する国家の反省と謝罪を促す意味を持ち、同様の過去の事件に対する真相究明と被害者救済のための努力をさらに強化しなければならないことを強調する。真実和解委の活動は、過去の過ちを正し、未来に向かって進む上で重要な役割を果たしている。 チョン氏は1983年2月15日に検挙され、3月9日までの23日間も不法に拘禁された状態で取り調べを受けた。この期間中、チョン氏は殴打をはじめとする拷問に苦しめられ、虚偽の自白を強要されたことが明らかになった。これは当時の捜査機関の人権意識がいかに未熟だったかを如実に示す部分だ。不法拘禁と拷問は、憲法に保障された身体の自由と人間としての尊厳を深刻に侵害する行為だ。このような過去の誤った捜査慣行は必ず清算されなければならず、二度と繰り返されないように徹底的な監視と教育が必要だ。チョン氏は長い時間が経ってから真実和解委の調査を通じて当時の無念を訴えることができ、裁判所の再審を通じてようやく無罪を宣告された。今回の判決は、過去の捜査機関の誤った慣行によって苦痛を受けた被害者たちに希望を与えると共に、法執行過程における人権保護の重要性を改めて強調する契機となった。今後、捜査機関は法と原則に従って公正かつ透明に捜査を進めなければならず、人権侵害事例が発生しないように絶えず努力しなければならないだろう。 裁判所は、この事件に対する再審を決定するにあたり、過去の捜査過程の問題点を指摘し、チョン氏に公正な裁判を受ける機会を提供しなければならないと判断した。再審は、すでに確定した判決に重大な誤りが発見された場合、再び裁判を開いて真実を究明し、正義を実現する制度だ。チョン氏事件の場合、過去の捜査過程で不法拘禁と拷問があり、これを通じて得られた虚偽の自白が有罪判決の決定的な証拠として使用されたという点が再審決定の重要な根拠となった。裁判所はこのような問題点を認め、チョン氏に再び自身の無罪を立証する機会を提供するために再審を決定した。今回の再審決定は、過去の権威主義時代の誤った判決を正し、個人の名誉を回復する上で重要な意味を持つ。また、裁判所は再審を通じて過去の捜査過程の問題点を再検討し、法執行過程における人権保護の重要性を強調した。今後も裁判所は過去の誤った判決を正し、社会正義を実現するために積極的に努力しなければならないだろう。 検察は、最終弁論でチョン氏に無罪を求刑した。これは検察自らが過去の捜査過程の過ちを認め、正義を実現するために努力した結果と解釈できる。検察は、過去に国家保安法が過度に適用され、個人の自由と権利が侵害された事例について反省し、今回の再審を通じてチョン氏の無念を解消しようと努力した。検察の無罪求刑は、裁判所の無罪判決に肯定的な影響を与え、今回の判決は検察の過去の清算努力に対する評価とも見なせる。また、検察は今後も過去の事件に対する真相究明と被害者救済のために積極的に努力しなければならず、法執行過程における人権保護のためにさらに努力しなければならないだろう。今回の事件は、検察が過去の過ちを正し、国民の信頼を回復するために努力する姿を示す事例として、今後も検察は公正かつ透明な法執行を通じて社会正義を実現する上で貢献しなければならないだろう。大韓民国大統領のイ・ジェミョンもまた今回の裁判について言及し、過去の権威主義時代の誤った法適用について遺憾の意を表した。