米共和党、トランプ氏のブラジルへの関税「爆弾」に歯止め
米上院、トランプ大統領のブラジルへの関税賦課に歯止め
2025年10月29日、米上院において、ドナルド・トランプ大統領がブラジルに賦課した関税を撤回する法案が採決にかけられ、52対48で可決された。今回の採決結果は、トランプ大統領の貿易政策に対する共和党内の亀裂を示す事例として分析されている。特に、共和党所属の上院議員5名が民主党と意を同じくし、法案通過に決定的な役割を果たした。
今回の関税撤回法案は、トランプ大統領が去る7月、ブラジルのジャイール・ボルソナロ前大統領の起訴を理由に国家非常事態を宣言し、ブラジルに対する関税を賦課したことに端を発する。トランプ大統領のこのような措置は、即座に反発を呼び起こし、米上院はこれに対する歯止めをかけるに至った。
今回の採決で共和党内で離脱票が発生した背景には、複数の要因が作用したと見られる。スーザン・コリンズ、ミッチ・マコーネル、リサ・マコウスキー、ランド・ポール、トム・ティリス議員ら5名の共和党上院議員が、民主党と共に法案に賛成票を投じた。彼らは、トランプ大統領の関税政策が米国の経済に及ぼす否定的な影響と、同盟国との関係悪化を憂慮したと解釈される。特に、ミッチ・マコーネル上院院内総務の賛成票は、共和党内でトランプ大統領の影響力が弱まっていることを示唆するものとして解釈され得る。
今回の参院採決結果は、今後の米-ブラジル関係に重要な影響を及ぼすと予想される。トランプ大統領の関税賦課により、両国間の貿易関係が梗塞する危機に瀕していたが、上院の今回の決定により、関係改善の余地が設けられたという評価が出ている。しかし、トランプ大統領がこれに対しどのような立場を取るのか、そして下院で当該法案がどのように処理されるのかによって、両国関係は再び不確実性に直面する可能性もある。
関税撤回法案は、今や下院へ送られ、採決を待っている。下院での採決結果はまだ予測が難しいが、上院で共和党議員たちが多数離脱票を投じただけに、下院でも同様の結果が出る可能性を排除できない。もし下院でも関税撤回法案が通過すれば、トランプ大統領の外交政策に相当な打撃となると予想される。
一方、今回の事態は、大韓民国をはじめとする他の国々にも示唆するものが大きい。米国の保護貿易主義強化の動きに対する警戒心を呼び起こし、米国の国内政治状況の変化が国際貿易秩序に及ぼす影響に対する注意を喚起する契機となり得る。大韓民国政府は、米国の政策変化を注視し、自国の経済的利益を保護するための多角的な努力を傾けるべきであろう。
米上院の今回の決定は、トランプ大統領の権威に対する明白な挑戦として解釈され得て、今後のトランプ大統領の政策推進に相当な制約として作用する可能性が高い。特に、共和党内でトランプ大統領に対する支持基盤が弱まる場合、2028年の大統領選挙で共和党の見通しまた不透明になり得るという分析も提起されている。
今回の関税撤回法案通過を契機に、米政治圏内ではトランプ大統領の独断的な政策決定方式に対する批判の声がより一層高まると予想される。また、共和党内部でもトランプ大統領との差別化を試みる勢力が登場する可能性も排除できない。今後、米国政治の行方は今回の事件を契機により複雑に展開されると展望される。
